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【取締役】100で終わったのではダメ。101以上の価値が提供できなければ、お客様の喜びは得られないんです。

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PROFILE

伴 久英(取締役/技術責任者)

ITの発達により世の中がますます便利になっている昨今。普段、何気なく使っているテクノロジーは、多くのITエンジニアの知恵と努力により支えられている。ITエンジニアはいまや、社会の発展を語る上で欠かせない職種となった。株式会社オールスマートの伴氏もそんな人材の一人。数々の開発プロジェクトを推進してきた高い技術力と提案力は名だたる企業から厚い信頼を得ている。

満足したことなんてないですよ。そういう性分ですから

声なき声への提案こそが技術者としての存在価値だと語る伴氏

顧客のビジネスモデルや用途によって要件が異なるシステム開発。また、ニーズに応える筋道もひとつではなく、アウトプットの形もさまざまだ。そんな世界で顧客の要望に沿ったシステムを構築するだけでも至難のわざであろう。しかし、伴氏の仕事にはそれだけでは終わらせない強いこだわりがあるという。

あれは1年前、あるお客さまの社内システムの再構築を請け負ったときのこと。「管理する項目を増やしたい」という機能追加の要望だったのですが、私は現状の管理画面を見て、「いかにも古い、ひと昔前のデザイン」と感じたんです。そこで「社内のシステムだから、自由に変えてもらってOK」という言葉をもらい、プラスαとしてデザインにも手を入れて再構築したんですね。それに対し、すごく喜んでくれて。結果として、お客さまから社内表彰も受けることができたんです。本来であれば再構築だけに済ませた方が楽ですし、それでもお客さまは「ありがとう」とは言ってくれたはずです。でもそれはエンジニアとしての価値を発揮したことにはならないと思うんです。だって要望にちゃんと応えるのは仕事としては最低限の義務に過ぎないじゃないですか。

顧客の要求の一歩先を行く提案で付加価値を生み出す伴氏。それを当たり前のごとく淡々と語る姿からは、一人の仕事人としての矜持を感じる。そんな伴氏の仕事観には揺らぐことのない一本の筋が通っている。

お客さまの要望を100とすると、それに対して101以上のものを提供するにはどうしたら良いか。そういつも考えています。たとえわずかでも要望以上の付加価値の付けどころをつねに探します。なぜそうするかというと、自分のなかで「100を超えた部分のみが評価対象だ」という根本的な仕事観があるから。

そこで大事なのは、いま自分が携わっているシステムがユーザーにどういうメリットがあるのか、どんなビジネスモデルなのかを理解すること。「何がお客さまにとっての101以上か」は、それによって変わりますから。あくまで、私たちの仕事はシステムによるお客さまの課題解決。エンジニアのエゴで作っても、それがお客さまにとっての付加価値になっていなければ意味がない。それが仕事の大原則です。

価値を生み出す源泉は顧客とのコミュニケーションの質と量

自分の仕事観はきっと正しいはず――。そんな伴氏の自信が確信に変わったきっかけがあった。オールスマートとしてWeb開発に初めて挑戦したあるクライアントのプロジェクト。他社のエンジニアと共同で開発する合同案件だったが、そこで伴氏は唯一のWeb開発の未経験者だった。

うちの会社はそれまで通信関係のコアな業務を専門にしていたので、私もWeb開発は未経験だったんです。「できるのか?」という不安と、「やれるはず!」という自信との葛藤を抱えながらの挑戦でした。プロジェクトがスタートすると、進捗会議では理解が遅い私だけが怒られる日々が続きました。精神的に辛かったですね。

ただ、お客さまに対する責任がありますから、このままで終わるわけにはいかない。落ち込む暇もなく、誰よりも勉強し、試行錯誤を重ねていきました。

そして、構築が完了して、いざテスト工程に入ったときのこと。プログラムが動いたのが、なんと私だけだったんです。そのとき他のエンジニアは、そもそもテスト工程で動くところまでを目標としていなかった。Web業界では、「テストで不具合を指摘されてから改善し、最終的に動くようにすればいい」というアプローチが一般的だったようなんです。結果的に、私は求められている以上のことをすでに目標に置いていた。それからは、お客さまの私に対する評価もガラリと変わりました。

自分が100と思っていたことは、周りにとってはすでに101以上のものだった。それ以来、「要望以上の価値を提供すること」を、自分にとっての「当たり前の基準」にし続けたいと考えるようになりました。

思考の整理に使っていたノート。過去の試行錯誤が垣間見える

とはいえ、顧客にプラスαの提案をし続けることは決して簡単ではない。自分自身の確かな成長がなければ、技術の動きが早いこの業界で新たな付加価値など提供できないからだ。伴氏が考える「自己成長に必要なもの」とは何なのか。

自分の能力や技術力を超えるような案件にも、ノーと言わず飛び込み続けることですね。もちろん「何とかなる、やれるだろう」という感覚的なものもありますが。技術の進歩とともに未経験の領域も増えていくわけですから、そこに挑戦し続けなければ、エンジニアとしての成長も止まってしまうんですよ。

私はもともとITエンジニアとは縁遠い体育学部出身なのですが、この業界に入ったとき「自分は技術の上では劣っている」というコンプレックスがあり、それが成長の原動力になってきたんです。その感覚は実は今でも変わってなくて、その対象が今は周りの誰かとかじゃなく、「新しい技術」なんです。

今もすごいスピードで技術は進んでおり、かつて手掛けた、その時はすごく評価してもらったシステムが、いま見ると相当古く感じ嫌になる(笑)。「もっとこうすればよかった」という後悔に襲われますが、だからこそ技術の追求に対するモチベーションは尽きないんですよね。

技術の進化への劣等感と現状不満足の精神が伴氏を突き動かす

株式会社オールスマートの取締役兼技術責任者として、今も顧客の重要なシステム構築の第一線に立つ伴氏。ITエンジニアとして走り続ける先に描くゴールは、果たしてどんなものなのか。

機械はうそをつかない。きちんと作ればきちんと動いてくれます。そうやって自分の構想がカタチになったときにはやっぱりうれしい。自分の手掛けたプロダクトが世の中に出て社会に貢献していることが分かるとちょっとは誇らしいし、最高に楽しいですよ。

でも、エンジニアとしての成長を考えたとき、それはきっとゴールはない。自分のゴールが見えるときって、きっと自分の技術の進歩が止まった時なんだと思います。技術の進歩に際限がない以上、自分の成長にもゴールなんてないんです。技術の進化を追いかける楽しさをこれからも感じながら、エンジニアとして求め得る最高の技術領域に挑戦し続けたいですね。

技術の進歩に際限がない以上、自分にもゴールなんてないんです。


伴 久英(ばん ひさひで)プロフィール
1974年、滋賀県甲賀市生まれ。東海大学体育学部では体育会サッカー部に所属。卒業後、ITエンジニアの派遣を主事業とするシステム会社に就職、エンジニアとしての基礎を築いた。退社後独立してフリーランスのエンジニアとして活躍したあと、株式会社アイスタイル・アライアンス(現株式会社オールスマート)の設立に加わり、取締役として入社。以来、同社の技術責任者として顧客から高い信頼を獲得し、事業の成長と拡大に大きく貢献している。

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